吠えるライオン

日本が世界に誇るデザイナー:KEN OKUYAMA 奥山清行さんの哲学

    

奥山清行さんとは

メディア露出が少ないので日本での知名度はそこまでじゃないですが、世界的には超有名な工業デザイナー奥山清行さん。

とても尊敬しています。

日本人で初めてポルシェのデザインを任されり、マセラティもデザインしたり、とにかくものすごい人。ぼくが彼のことを知ったのは、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」での特集にて。番組の中で、いちばん印象に残ったのは次の言葉、というか哲学です。

『(猛獣使いには)猛獣以上の腕力が要る』

猛獣ぞろいの部下たち

当時彼は、イタリアのあるデザイン会社でマネージャーを担当。クライアントの依頼ごとに社内のデザイナー数名を集めてプロジェクトチームを組み、それぞれに自由にデザインさせて競わせる「コンペ」形式を採用していました。

で、このデザイナーたちが超強烈。各々、デザイン学校を主席で卒業したとか、他社でばりばり実績出してきたとか、その道何十年のベテランとか、要するにひと癖もふた癖もある。完全に「自分のやりかた」を持ってるわけです。

そんな人たちなので、奥山さんが「このデザインはだめ」と言っても、かんたんに引き下がりません。露骨にいやな反応を見せたり、何度も食い下がってきたり、上司である奥山さんの変更指示にまったく従わないデザインを再提出してきたり……日本企業じゃ見られない光景ですね。

奥山さんは、そういう部下たちを「猛獣」に例えています。ものすごい力を持ち、暴れ狂う大型獣たち。そんな連中が本気でぶつかりあうからこそ、新しいものが生まれる。彼は長い経験の中でそう確信しているようです。

そして、そうした人たちを束ねる自分のことを、「猛獣使い」だと言っています。このくだりの末に、上記の「〜腕力が要る」という言葉が出てくるんですね。

猛獣以上の腕力

ここでいう「腕力」は「デザイン力」、もっと言えば「デッサン力」です。実力者ぞろいの部下デザイナーたちに対しリーダーシップをとるには、彼ら以上の実力が必要だ、とこう言うわけです。

それで彼は、毎日、時間を見つけては紙とペンを出して車をはじめとにかく絵を描いています。多いときは、1日50枚近くも描くのだとか。

最高峰のプレイヤーたちを束ねるために、自分自身が、最強であり続ける、そういう覚悟をもって奥山さんは仕事に臨んでいるんですね。

この奥山流哲学は、私の中にずっとあって、仕事で行き詰まったりしたときにいつも、ふと思い出しては行動をただしてくれてます。

現在は編集者として、作家さんたちのお世話をしたり、お世話になったりしてるわけですが彼らもやっぱり「猛獣 」なところがある。で、私は自分のことを、ひそかに「猛獣使い」だと考えています。

だから、自分も小説を書いてます。傲慢な言い方かもしれませんけど、作家さんたちに対して「お前らには負けないぞ」と思いながら。

そうやって自分も「現場」に身を置き続けることで、作家さんたちに多少なり意味のある助言ができる……そう考えてやっています。

「自分は猛獣使いなんだ」

この哲学が、日々の仕事で倦まない緊張感を持たせ続けてくれると信じています。

(この記事は2016年9月に書いたものです)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です